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2020.5.20 未分類

【高校の化学・物理で分かる!】イオン化エネルギーの測定法を高校物理の知識で解説!

茨木高校の生徒さんから「先生、イオン化エネルギーの定義に『気体状の原子から電子を一個取り去って・・・』とあるのですが、これってどういうことですか?」と質問がありました。確かに「気体状の原子」と書いてあります。「液体や固体ではダメなんですか?」なんて、蓮舫議員のような質問をしてくるのですが、「これはイオン化エネルギーの測定法が分からないと答えられないからな~。先生の宿題で持ち帰っていいですか?」となり、プロジェクトXが始まりました。「風の中の昴、砂の中の銀河~♪みんなどこへいった~♪」今日は、せっかくちゃんと調べて、高校物理まで動員して解説したので、同じ内容をブログにも書いてみます。

 

光電子収量分光法(PYS法)でイオン化エネルギーを測定

「大気中光電子収量分光装置 – 理研計器」のHPより

紫外線ランプから放射された紫外線は、分光器により波長選択(エネルギー選択)され、サンプル台(大気中)に置かれた試料表面に集光されます。光電効果(物質が光を吸収し物質表面から電子を放出する現象)により放出された光電子をオープンカウンターで計数し、パーソナルコンピューターによる演算処理の後、結果をパソコンに表示します。紫外線の波長λは次式により光のエネルギーEに換算されます。

下の図を見てみましょう。これだけでは、高校1年生は分かりませんよね!これから詳しく解説していきます!

 

光電効果

光電効果は、「金属に光を当てると、電子が飛び出してきた」という実験での現象を指しています。昔の物理学者らは、光=波と理解していたので、光電効果に見られる特徴と波の特徴の矛盾に悩んでいました。光電効果は、高校物理のラスボス的な存在です。この不可解な矛盾について、アインシュタインは「光はね、粒子でもあるし、波でもあるんだよ」と説明することで解決しました。光電効果の詳しい解説がしたいわけではないので、説明はこのくらいにしておいて、次に進みましょう。ここで覚えて欲しいのは、「物質に光を当てると、電子が飛び出る時があること」「光の粒のエネルギーを示す式がE = hν[J]であること」です。Eがエネルギー、hはプランク定数で、vは振動数です。ここから、振動数と波長が反比例の関係だという説明をします。

振動数と波長と光の色の話【高校物理の基本】

生徒には、上の写真を動画にして示したのですが、波長の長い波と波長の短い波を同時に同じ距離だけ進ませると、波の山にある緑色の球が黄色のバーを通過する回数【これを振動数という】は、長い波長ほど回数が少なくなる(振動数が少なくなる)。つまり、波長と振動数は反比例するのです。

これをE=hvの式に当てはめて考えると、「光エネルギーは低波長ほど高エネルギーになる」ことが分かる。波長を上げ下げすることで、光子のエネルギー量を調整できる。この特徴を活用したのが、PYS法という測定方法なんです。

紫外線の波長を調整しながら、電子を飛ばしてみる

この測定方法では紫外線(可視光よりも低波長)を使っています。低波長だから、可視光よりも高エネルギー。分光器に通すと、波長を少しずつ調整できる。つまり、光子のエネルギーを上げたり下げたりできる。電子が電子殻から逃げて飛び出すことを「囚人が塀から牢屋を脱出する」のに例えてみましょう。電子は光を浴びるとエネルギーをもらいます。囚人なら食事でしょうか。そうすると、元気になる。元気になったら、塀を飛び越える力を得るんだ。でも、食事の量が足りないと、塀を飛び越えられるほど元気にならない。光の波長を調整すると、「電子が飛び出せる」のと「電子が飛び出せない」の境界線になる値が見つかってくる。

グラフにすると、こんな感じ。光のエネルギーが少ないと、しばらくは電子は飛び出てこない。エネルギーをだんだん高くしていくと、電子が飛び出るようになる。その境界の光エネルギー=イオン化エネルギーというわけです。これで、イオン化エネルギーの測定方法は解決したでしょうか?

余談:炎色反応と花火

「電子はエネルギーをもらうと電子殻から飛び出し、電子殻に戻るとエネルギーを放出する」という特徴があります。この特徴と深いかかわりがあるのが、高校化学の定番の「炎色反応」です。金属原子は、熱せられるとエネルギーの高い状態になります。その状態から、元の安定した状態(電子が電子殻に戻る)時に、エネルギーを光として発します。この光の持つエネルギーの大きさによって、波長の大きさが決まります。つまり、元素によって色が変わるということです。

夏の風物詩の花火も、この炎色反応を利用しているようですね。ということで、生徒の「イオン化エネルギーの質問」から高校物理の波・原子の話へ発展し、最後は炎色反応(化学)に戻りました。高校の物理と化学は、特に理論化学の所で密接に関わっています。化学を深く理解しようとするなら、物理の知識も必要になってきますね。さて、今日はこのくらいにしておきます。

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