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2022.12.07 英語・教科書

阪大英語英文和訳の攻略法 (大阪大学2003年度入試英語大問1を英文解釈してみた)

2003年度大問1(B)の英文解釈を行い、解説します。

 

 

問. 以下の英文を読み、下線部の意味を日本語で表しなさい。

 

Did you ever think, when you held or looked at a beautiful pearl, that its origin was irritation? An oyster, in response to the irritating presence of sand within its shell, creates a thing of beauty. Not only is the conflict resolved but value is created. When we understand that conflict includes the potential for us to create beautiful pearls and contribute to the world and to ourselves, then we begin to open up our shells, less concerned about letting life in. Embracing conflict can become a joy when we know that irritation and frustration can lead to growth and fascination.

 

 

 

では、精読していきましょう。

 

 

 

そもそも“意味を日本語で表せ”とは?

“和訳せよ”ではなく”意味を日本語で表せ”と記されているのが阪大の大問1の特徴です。もちろん意味を理解した上で分かりやすい日本語にして表すことが理想ですが、無理に意訳をする必要はありません。この問題においては、ある程度の語彙力と、構文通りの意味がとることのできる能力が求められています。語彙力をつけ、英文の構造を把握し、原則として構造に忠実な直訳ができるようにしましょう。

 

下線部以前はどういう意味?

“Not only is the conflict resolved but value is created.”という文について、なんとなく意味はとれるかと思いますが、構造の理解はできていますか?今回は下線部に含まれていないためそのなんとなくの意味がとれていればよいのですが、解説しますので、今後に役立ててください。

まず、〈not only A but B〉に「AだけでなくBも」という意味があります。それから”not only “の直後が”is the conflict”となっていますが、倒置が起こっていることには気がつきましたか?本来なら、the conflict is resolvedとなるはずです。今回のものは倒置の中でも強制倒置というもので、否定語句が文頭に出てきているため、主節が疑問文の語順になっています。

また、ここでいう”conflict”は、二枚貝と、貝殻の中に入った砂という相容れないもの同士の対立を表しています。

 

《訳》美しい真珠を手に取るか見るかした時に、その起源が刺激であるということを今までに考えたことがありますか?二枚貝は、その貝殻の中の砂の刺激に反応し、一つの美しいものを作り出します。相容れないものの対立が解消されるだけでなく、価値までもが創造されるのです。

 

下線部中で一つ目のandは何と何をつなぐ?

結論から言うと、”create”と”contribute”をつなぎます。andやbutなどを等位接続詞と呼びますが、等位接続詞というのは原則として文法的に等しいもの同士を結びます。等位接続詞が登場したときには、基本的にはまずその直後を確認し、それと文法的に等位であるものをその接続詞より前の部分から遡るように探すようにしましょう。今回の場合は”and”の直後の”contribute”に着目し、次にそれ以前から動詞の原形を探すと”create”が該当します。このことから、”the potential for us to create beautiful pearls”と、”(the potential for us to) contribute to the world and to ourselves “が結ばれていることになります。

whenの綺麗な訳し方

Whenは~の時という訳が一般的ですが、条件のように「~すると、~すれば」と表した方が、より適切な訳になる場合もあります。

 

beautiful pearlsは何を表している?

私たちはもちろん葛藤によって真珠を創り出したりすることはできないため、この部分が比喩であることが分かります。訳すときはそのまま美しい真珠としても構いませんが、これが比喩であり、何か素晴らしいものを表しているということは頭に入れておくようにしましょう。

 

“less concerned about letting life in”って?

このかたまりは、付帯状況を表す分詞構文となっています。分詞構文とは、分詞が接続詞と動詞の働きを兼ねて副詞句をつくったものです。今回は、lessの前にbeingが省略されているため、それを補うと意味が分かりやすくなります。この”concerned”は形容詞的に使われていますが、動詞の受動態です。分詞構文では”being”と”having been”を省略できるので、受動態の分詞構文は、時制にかかわらず、過去分詞で始まる場合が多いことを覚えておくとよいでしょう。

“Letting life in”の訳で迷った方もいるかもしれません。〈let A in〉で「Aを中に入れる」という意味になるため、直訳すると、「人生を中に入れる」となりますが、「人生を受け入れる」などと工夫するとより良い解答になるでしょう。

この”less”を「それほど~なく」と訳し、この部分全体としては、「それほど人生を受け入れることを心配せずに」などと表すことができます。

 

最終文のcanはどう訳す?

canの基本用法として、実現の可能性と、理論上の可能性を表すものがあります。実現の可能性を表す場合は「~できる」という訳になり、一方で、理論上の可能性を表す場合は「~する可能性がある」という訳になりますが、普通、無生物主語の場合は理論上の可能性の意味で訳します。この文の主語は、主節では”embracing conflict”、従属節では”irritation and frustration”であり、いずれも無生物主語であるため、どちらのcanも理論上の可能性として捉えましょう。また、〈lead to ~〉には「~に繋がる、~を引き起こす」という意味があります。

 

 

《解答例》

葛藤に、私たちが美しい真珠を作り出し、世界や私たち自身に貢献する可能性が秘められていることを理解すれば、私たちは自分の人生を受け入れることにあまり不安を感じることなく自分自身の殻を開き始める。いら立ちや不満が成長や魅力に繋がる可能性があることが分かると、葛藤を抱くことは一つの喜びにもなり得る。

 

 

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英文の構造がとれているかを口頭試問によって確認し、できていない部分の解説を丁寧に行います。また、志望校やその生徒に合った参考書や勉強方法を提案します。

 

 

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